おっ、浮いた!・・・First Flight
− 1994年9月〜10月 −




日本での地べたでの勉強もほとんど終わり、夏休みがてらそろそろアメリカのスクールへ行くことにした。ついでにWritten Test(ようは筆記試験)も済ませてしまえとばかりに、渡米したのであった。

話には聞いていたが、着いた翌日からいきなりヒコーキに乗せられた。機種はセスナ152、2人乗りであった。日本ではセスナというと4人乗りの172が主流らしいが、アメリカではセスナといえば152である。
ドアをあけると、「せまい!」というのが第一印象だった。車に乗るときにドアをあけたときの感覚からすると、どう考えても2人ならぶ幅ではないような気が...。実際にでっかいアメリカ人のインストラクターと乗ると、肩と肩がピッタリひっついてしまうくらいだった(笑)。

第1回目のフライトは「オリエンテーション」ということで、飛行場の周りをテキトーに遊覧飛行みたいに飛んで地理や感覚をつかもう、とい言われたが実際に乗ってみるとそれは大ウソであった。
いきなりタワー(Control Tower)やグランド(Ground Control)とのコミュニケーションはやらされるわ、Taxing(地上走行)やTakeoff(離陸)その他全部やらされるわで「聞いてないよ〜」状態である。よたよたとRunway(滑走路)の端まで何とかたどり着き、そのまんまフル・パワーでTahe Off。
しかし、飛ぶ以前にまっすぐ走れないのであった。「右ペダルを踏むと右、左ペダルを踏むと左に曲がる」というのも乗ってみて初めて知った。右や左にヨタヨタしながらもそれなりにスピードが出て来てインストラクターのTitusが「引け!」というので、操縦桿をヒョイと引くと、引きすぎたのか「おっ、浮いた!」と思った瞬間Stall Horn(「失速するぞ」と教える、翼に付いているフエ)が鳴る。やっべぇ〜、初Flightで失速して墜落かと思ったゾ(^^ゞ

その後もTitusは横でとりあえず操縦桿をさわっているだけである。簡単にClimb(上昇)・Descent(下降)・Turn(旋回)を教えて、そのあとは「あっち行け、こっち行け」というだけで、どっちが遊覧飛行だか分からん。しかし、この最初から全部やらせるのがアメリカ方式らしい。
しかし、さすがにLanding(着陸)はTitusがやった(当たり前...笑)

このランキャスターはもともと風が強い土地というのもあるが、セスナは揺れる。気持ち悪くなるというほどではないが、けっして乗り心地がいいとはいえない。風に吹かれてふらふら。Runwayを走るときも、あの旅客機の後ろから押されるような加速感は全く無く、なんとなくスピードが上がってそのうちに舞いあがる、とこんな感じである。車が信号が赤から青に変わって走り出すときや、一般道から高速道路に入るときのほうがまだましなくらいだった。
あるPILOTの友人が言っていたが、「自転車を思いっきりこいだときくらいの感じ」
激しく同意。

トレーニングといっても、毎日飛んでるだけではなく、地べたでの勉強の残りもある。
日に2回(2時間ほど)飛んで、地べたで1〜2時間勉強、という日が続く。では、残りの時間は何をしているのか? ランキャスター、というかカリフォルニアの砂漠地帯は異常に暑く、毎日F95度(C35度くらい)くらいまでは平気で上がる。午後になるとUpDraft(上昇気流?)も関係して、風が30ノット以上にもなる。そのため朝の7:00ごろから飛んで、午後1時か2時には切り上げてしまうのである。
その後はアパートに帰り、昼寝・プール・お勉強のうちどれかになる。たまにNight Flight(夜間飛行)が入った人は、晩ゴハンを食べてからひとっ飛びとなる。

そうこうしているうちに勉強も全部終わったので、「模擬試験でも」ということになり、2度ほどやってみた。
結果は1回目が85点、2回目が92点。前出のインタストラクターTitus(Chief Instructorだった)に「本番は満点だ!」といわれ、調子にのって"OK!"と答えたまではよかったが、本番は85点で、彼はムッとしていた(ーー;)。まぁ、70点以上で合格なので全くノーブロブレムである。
たまに満点を取ってしまう不届者がいるせいで、せっかくの85点が低く見えてしまうというのも災難である。85点といえば大学では十分Aである。満点取る人の数よりWritten Test落ちる数の方が断然多い、ということを忘れてはいけない。


Written Test Result

筆記試験(Written Test)の結果
オンライン・コンピューター・テストなので終わるとその場ですぐ結果が出る


で、Titusとは別のそのころいっしょに飛んでいたインストラクターのPaulに、どうだった?と聞かれたので「85でパスしたが、Titusにムッとされた」とチクる(?)と、Paulは"85? No Problem! Congratulations!"だとさ(^^)v

アメリカ人はこれくらい前向きなのがよく似合う。







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