I am PIC!!


− 1995年9月ころのおはなし −


CheckRideから帰ってきてヒコーキをTieDownしたとこ。ハイ、チーズ!

前回でSOLOは済ませたし今回はCrossCountryを終わらせ一気にPICだぁぁぁ!!と意気込んで渡米。
PICって何? 私も初めてみたときは「?」で「ピック???」と読んでいたのですが実は「ピー・アイ・シー」と読みます(別に不思議でもなんでもない?)。PICilot ommandの略で日本語では「機長」と訳していたりします。世間一般にPilotというのはこのPICの人を指しています。Private Pilotの世界では一応Pilotという名称の付くStudent Pilot(つまり練習生)はPICではなく、米国連邦航空局の国家試験に合格してはじめてPICなのです!! 細かく言うと練習生(Student Pilot)もPilotには違いないのですが、ふつうPilotというときStudent Pilotは考えていませんから。これは日米どちらもおなじ。

Written Testは’94年10月に終わらせているので今回はCheckRide、いわゆる実技試験なのですが、細かく言うと同じ日の実際に飛ぶ前にOral Examination(口頭試問)という難関が待ち構えているのです。あの日本語でさえ説明するのが難しい航空力学や気象、航空法を英語で答えなければならないのです!! あぁぁ、頭イタイ....。

CheckRideの場所はSouthern California International Airport(VCV)、なななんと国際空港です!! ところがInternational Airportとは名ばかりでNon Tower Airportです。その「試験会場」へ一人でヒコーキで空から乗りつける(!?)わけです。自動車の試験に家から一人で車を運転していくようなものです。なんかヘンだなぁぁ....。
ちなみにExaminer(試験官)はLyman.C.Linsonというおじいさんでした。10000フィートの大滑走路の何を血迷ったか一番端っこに降りたので滑走路を7000〜8000フィートたらたら走って、Mr.Linsonのofficeに向かっていると、もう外に出て「こっちこっち!」と誘導してくれたのです。おまけにわざわざヒコーキのドアをあけてくれ「おぉぉ、よく来たよく来た!」とまずは握手。この能天気さがカリフォルニアのいいところ! 

で、とりあえずまずOral Examination。Mr.Linsonは目の前に「質問集」らしき紙をひろげて質問し、おわるといちいちチェック・マークをつけているのです! テキトーに質問しているのではなくけっこうマジです.....やばい。このOral Examinationは単にちゃんと勉強して覚えていて答えられるだけではなく、外国人の場合は英語をちゃんと聞き取れて話せるかもチェックされています。前日にインストラクターのEli(”イーライ”と読みます)から「ひとつひとつ答えるだけではなく、”会話”をするようにしろ」と言われたのを思い出し、わからないところははっきり「それはわからん」というとナント試験の最中に「これはこうで、こうだからこうなる云々」と教えてくれるではないですか!! びっくりしたなぁぁ。日本じゃ考えられません。

そんなことをしているうちに1時間半ぐらいたち、1年分くらい英語を話した私がゲソォォォっとしていると「ほんじゃあ、フライト・プランつくっとくれ。Weather? この電話で番号はXXXXのXXXX(と自分でかけて).....ホイ」と電話を渡されました。いたれりつくせりというか何というか調子狂うなぁ。調子をめちゃくちゃに崩されているそんな私には目もくれずMr.Linsonは部屋から出てどこかに...。

せっせと計算してフライト・プラン出来たので、戻ってきたMr.Linsonに「できましたよ」というと「ほんじゃ、行くか」とヒコーキのところへ。ここでもヒコーキのあっちこっちを「これ何?」「あれ何?」と質問攻めにあい、「うぅぅぅむ、それは知らん」というとちゃ〜んと教えてくれるのです。後からインストラクターに聞いたのですが、たかがPrivate Pilotが何から何まで知っているはずない、というのがアメリカの考え方で、Passしたあとも「これからもStudyだ」と言われました。Passしたら終わり、という日本とは発想がだいぶ違います。

さてここからがホントのCheckRide!! 最初にSoft Field LandingをやらされていきなりBaloonして出鼻をくじかれた私は、そこからあとは絶不調でハズシまくり! Soft FieldとShort FieldのTakeOffは当然ビシッときめた(これまでヘマしてたら救いよう無し)もののShort FieldのLandingはまたも最悪。おまけにS−TurnやTurn Around a Pointなども風のせいもあり流される流される。汗だく(実際に暑い日だったんですけど)で内心「こりゃ、やっべぇ〜」とあせりまくっている私の横でMr.Linsonは「おまえも金もったいないだろうから、さっさと終わらせよう」と息つくまもなく次から次へと「Power On Stallやって」「はい次、Power Off」「それじゃあ、Slow Flight」と忙しいの何の。おまけにPower Off StallやらされてStallに入る前にビビッてRecoveryしたら、ガハハハと笑って「おまえ、Stall嫌いなんだろう?」だとさ。なんかしらないけど遊ばれてるみたい。1時間半くらいそうやって飛んでいるとMr.Linsonいはく「じゃあ、FullStop」。やっと終わった.....とホッとする反面、これは落ちたかもしれん、と思いながらまたその10000フィートの大滑走路に降りた(今度はMr.Linsonにも言われたので5000フィート目くらいのところに降りました)瞬間Mr.Linsonが”You PASSed!! YOU ARE PIC!!” ”エッ、ホント? THANK YOU, Mr.LINSON!!”となったのでした。

Check Rideの途中ではどうなるかと思ったのですが、とにかく合格メデタシメデタシ!!

W.J.Fox Airportに戻ってきてヒコーキから降りたところを出迎えてくれた校長先生が写してくれたのが上の写真です。



[First Flight][Touch&Go][First SOLO]

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