SAGARMATHA, HIMAL



− MOUNTAIN FLIGHT −


マウンテン・フライトの飛行機はカトマンズ盆地にたちこめる霧のせいで予定より2時間ほど遅れて離陸した。席は全部うまっていた。このブッダ・エアーのBeech1900Dは通路の両側に1列づつという座席配置で、おまけに窓はきっちりと一人につき一つとなっている。遊覧飛行、とくにマウンテン・フライトには最適な飛行機だった。前の日に宿でマウンテン・フライトの予約をするときもそのために「ブッダ・エアーがいい」といわれた。マウンテン・フライトをしている航空会社は何社かあったがすべてUS$109と料金は同じに決められていた。

乗客には見たところネパール人らしき人は一人も見当たらず、欧米人とあとは日本人か中国人、韓国人だった。チトワン国立公園もそうだったが完全に外国人旅行者向けの企画のようだ。ネパール人にとっては値段も決して安くないし、飛行機にわさわざ乗って見に行くほどのものでもないのだろう。

その世界最高峰の山を呼ぶ際のエベレストという呼び名はもちろん英語であり、中国側ではチョモランマ、ネパール語ではサガルマータという。地元のシェルパたちはチョモルンマまたはチョムランムという。サガルマータは富士山のようにどこから誰が見てもすぐわかるという山ではない。「アレがサガルマータ」と教えられなければ絶対わからない。周りの山々と比較して特別高いわけではないし、富士山のように特別美しい姿を見せているわけでもない。世界最高峰という一点を除けば何の変哲もない山だ。山そのものの美しさや存在感と言う点ではポカラから見えるマチャプチュレの方が数段まさっている。

飛行機はトリブヴァン空港を飛び立つとムキになって高度を上げ、ヒマラヤへと飛んでいく。しばらくすると雪をかぶったヒマラヤ山脈が見えてくる。乗客をひとりづつコクピットへ呼んで教えてくれる「あの2つのピークの左側のがエベレスト」。周りにも7000〜8000m級の山が連なっているのでさすがの世界最高峰サガルマータも存在感が乏しかった。

しかし世界の屋根といわれるヒマラヤの中でもたしかに頭ひとつは飛び出している。空から見てしまえばその乏しい存在感も、写真でしか見ることが出来なかったが下から見上げるようにするとなかなかのものだ。

このサガルマータに比べれば、富士山も所詮”日本一”の山にすぎない。






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