極楽極楽....。

日本海、波高し



船は横浜港を出るとベイ・ブリッジの下をくぐり、房総半島をまわり東北の沖を北上していく。その後津軽海峡を日本海へ抜けウラジオストックへと向かう3泊の船旅である。

前にも書いたように「戦後初の復活ウラジオストック行き」だから混んでいるかと思ったが乗船率は30%ほど。がらがら。だが、久しぶりの復活第一便の取材のためかテレビ局のクルーらしき人たちが乗りこんでいて、あっちこっちでビデオを回していた。うぅぅぅむ、映りたいけど映りたくない。こんな酔狂な船に乗っているのが知り合いにバレるのもまずい....。ますますバカが広まる。

乗っている人もいろいろな国の人々で、ロシア人・日本人はもとより、アメリカ人、スイス人、イギリス人、香港人、スウェーデン人などなど。日本で仕事をしていたり勉強していたりしてこれから国へ帰ろうという人ばかりなので、ほとんどの人が日本語はペラペラだったが、日本人の前ではアメリカ人とスイス人が日本語で会話をしているという光景はかなり異様であった。アメリカ人のジェフは、日本で結婚した由美さんという奥さんを連れて、アメリカのワシントン州(西海岸!)ヘシベリア鉄道・ヨーロッパ経由で帰ろうというこれまたヒマな考えを持った男だった。このジェフ&由美の日米人夫婦と香港の陳さんとはモスクワまでずっと同じ行程になる。

食事は朝昼晩3食とも船代に含まれている。食わなきゃソン! 時間が来ると船内放送が流れみんな「メシだぁ」とゾロゾロ食堂に向かう。その日の朝昼晩のメニューは食堂の入り口のドアのところに貼られているのでメモってきた(ヒマだったから)が、そのメモはどこかにいってしまった。残念! 
この食堂で使われているグラスが、その後ウラジオストックのホテル、さらにはモスクワのホテルでも全く同じものが使われていたのには驚いた。スプーンもしかり。さすがは露西亜。統制がとれておる。というより規制ですな、こりぁ。種類少なくして大量生産し、コストを下げているのであろうか。

さらに初日の夜と最後の夜はそれぞれキャプテン主催のカクテル・パーティー付き。これも船代に含まれているので飲まなきゃソン! ロシア・ダンスも見れる! でもこのダンサーの人たちは昼間は何やってんだ? 昼間は食堂で働いている、というウワサもあった。生まれてはじめて本場ロシア製のウォトカを飲んだが、一くち口に含んだ瞬間電気が走ったように舌がビリビリ!! こんなスゴイのは浅草で電気ブランを飲んで以来であった。

3泊4日の船旅なので夜はそのようにパーティーが組まれているうえに日中もなんだかんだと退屈させない、というほどではないがヒマをつぶすための企画は2,3準備されていた。「船員によるロシア語講座」「操舵室見学会」など。その他「避難訓練」ももちろんある。ここで「ロシア語講座」と言っても期待してはならぬ。が即効性だけはあった。「ドーブラエ・ウートロ」「ズドラーストヴィチェ」「スパシーバ」「ダスヴィダーニァ」などの日々の挨拶から、アレは何と言う、コレは何と言う、という具合に「実用度」という点では非常にためになり、決して「船員による....」だからとバカにはできないのである。

そんなこんなの船も津軽海峡を越えて日本海に出ると、空も曇り、船も揺れだした。食事のときしか顔を見なくなり、食事のときも思いっきり食欲なさそうでゲソォォォとしている人が多くなってきた。エッ、私? 私は鈍感なのでそんな人々の前でガツガツ3食しっかり食って、3時のティー・タイムでもしっかり飲んで食っとりました。
なんだかんだ言ってもプールもあるような大きな船なので、小さな漁船みたいにドンブラコドンブラコと揺れるのではなく、大きくユゥ〜〜〜ラユゥ〜〜〜ラと揺れるのでなんかよくわからなかったというのがホントのところ。








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