ポーランド・ビザ無し不法入国未遂? |
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旧ソ連からポーランドに入るとレール幅が変るので台車をとりかえる。乗客は載せたまま待ち時間込みで2〜3時間。あまりヒマなので窓から写真(上の写真)撮っていたら....取替え作業してたオッサンと目が合い、いきなり列車に乗り込んできた! ドカドカドカッ。
「こらぁ、お前! なに撮ってんだぁ!!」(と言っていたみたいだった。定かではないが)。 「.....いやまぁ、その....」 「そのカメラよこせ! フィルム出せぇ!」(と言ってたと思う。カメラを指差していたので) いやぁこいつはマイッタ。エライこっちゃ! フィルムくらいはいいけど、カメラ(OLYMPUS OM10)はまずい...と思ってたら車掌さんがやって来て、 「いいから、席に戻っててください」(と、こちらは英語)。 車掌さんはオッサンと話していたが、そのうちに作業員のオッサンは列車から降りていった。 ああ、助かったぁ(ホッ)。どう言いくるめたかは知らないが追い払ってくれたらしい。 この国では、ウラジオストックの軍艦より台車取替え作業のほうが機密レベルが高いらしいゾ。気をつけるべし。 次にポーランドへ入る。実はポーランドのビザは持っていなかった。というか、もともとポーランドを通る予定などなかったのである。 これまたインツーリストのオババの陰謀だった。モスクワのホテルのインツーリストでバウチャーを列車の切符に換えるときのこと。もらった切符を見るとミンスク〜ワルシャワ経由となっている。おいおい、もともとの予約を入れた列車と違うし、ポーランドはビザがいるだろがぁ? 今からポーランド・ビザ取っている時間はないぞ、というとインツーリストのオババはこれまた悪びれる様子も無く言った。 「とにかくその列車に乗りなさい」。 「そんなこと言ってもビザがないとポーランドに入れてくれないだろうがぁ! 途中で降ろされたらどうすんだよ!」というようなことを英語・日本語・手振り身振りで言ってもオババは全く動じることなく「その列車はウィーンへ行きます」。 こりぁダメダ、とあきらめてモスクワ・ベラルーシ駅へ向かったのであった。 さて、列車はミンスク駅で台車を取り替えポーランドへと向かう。そうこうするうちにポーランドの入国審査官が乗りこんできて順番にパスポートチェックを始めた。向こうからふてくされた感じで順番にパスポートのチェックを済ませ、だんだんこっちへ近づいてきた。 審査官のふてくされオヤジはだまって手を出す。だまってパスポートを渡す。パスポートの写真と実物を見比べて確認し、次にパスポートをペラペラとめくりビザをさがす。ままま、まずい....。ふてくされオヤジは何度も全てのページを見ていたがパスポートから目を上げいきなりものすごい勢いで怒鳴りつけてきた。 「☆▲◇$◎)&〜¥@★*>#!!!!」 なぜお怒りなのかは120%くらいわかっているので、 「いや、だから最初の予定だとポーランドを通るはずじゃなかったのがインツーリストがあぁたらこうたら」 と言い訳をすると、ふてくされオヤジ審査官はますます怒り一段と大きな声で 「☆▲◇$◎)&〜¥@★*>#!!!!!!」 「だからぁ、モスクワでインツーリストのオババがぁ云々」とまた言い訳。 そうこうするうちにコイツはいくら言ってもダメだと思ったのか「ったく! ビザをくれてやる。ほれ、10ドル」らしきことを言ってきた(「ビザ」と「10ドル」しかよくわからなかったけど)。ホッ、助かった。列車から降ろされるかと思った。 ところがポケットの中をゴソゴソやると20ドル紙幣しかない。まぁしょうがないや、10ドル余計にかかったとしてもここで降ろされたりブタ箱行きになるよりはマシだろうと思って20ドル紙幣を出すと、なんとそのふてくされオヤジはふてくされながらも他の乗客の何人かに声をかけて10ドル2枚に両替し、1枚を釣りとして返してきたのである。おっ、なかなか真面目な勤務態度ではないか! 10ドルは着服するかと思ったのに....。 そして10ドルを渡したふてくされオヤジは列車の壁を台にして、ますますふてくされた態度でパスポートにバァーンと力まかせにビザを押したのであった。
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